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学校には10分でついた。のんびり歩いてもおつりがくる。家の立地条件は申し分ない。
下駄箱に靴をいれ。上履きに履き替える。するとロンリーさんがいた。
「おはよう」
と笑顔で挨拶をした。
「うん」
とだけ無表情で返された。これぞ阿吽の呼吸。何だそれ。
彼女はロンリーさん。いつも一人だからロンリーさんと呼んでいる。僕の中だけのアダ名だ。
ロンリーウルフみたいでなんかカッコいい。本名はなんだっけ。忘れた。
それから上履きを履き。スレ違った知り合いに適当に挨拶をして。教室にはいる。ガヤガヤと煩かった。
「おい、知ってるか?」
誰だと思った。後ろを振り向くとベシータがいた。
ベシータといっても人間だ。サイヤ人のほうではない。彼は強烈なM字で、自然とアダ名がベシータになっていた。最近生え際を気にするようになったらしい。かわいそうにと思った。
「童貞って。1920年頃は美徳だと思われていたんだぜ」
いきなりだった。
「そうか」
こう答えるしかなかった。
「しかし戦後からそこらへんの貞操観念がなくなってきたんだ。童貞は美徳から恥へと変わっちまったんだ」
「日本が戦争に負けたからいけないんだな」
「そういうことだ」
適当に話を合わせることにした。
朝からどうでもいいことを教えてくれた。
「俺、昨日ずっと考えてたんだ」
「何を?」
「俺、最初に付き合う女は処女がいい」
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