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「は、はぁ?」
なんとも間抜けな声をあげた。
「え、童貞?」
「田中君って童貞なの?」
「え~ちょっとウケるんだけど」
クスクスと周りから微笑の声がする。
終わった。今まで定着しつつあった。僕のキャラが、ガラガラと音をたてて崩壊していく。
とりあえず否定しようと思った。
「ちょ、おい待て、バカ。何を言ってんだ!」
「何だよチェリー」
「おい何だそれは?」
チェリー。この響きに何か嫌な予感がした。
「お前の新しい名だ」
ベジータは一つ間をおいて言った。
人の噂と言うのは日々新しい情報を凄まじい速さで伝えられていく。そして面白いものなら尚更だ。例えそれが、僕が童貞だということでも。
そしてこの瞬間が正に、僕のアダ名がチェリーになった瞬間だった。アーメン。
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