菜摘さんと陵汰くん。

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「こっちだぁぁーーっ」 「逃がすなぁぁーー!」 「コラ、待てぇぇーっ」 「今度こそ捕まえろ!」 「ちっきしょ、はえー」 「お前ら、二手に分かれろ」 私達を追いかける男の子は、どんどん増えてくる。 彼は何をしたんだろう? 階段を駆け上り、入り組んだ廊下を走り抜け、音楽準備室に入った。 「静かにっ」 2人で息を潜めていると、廊下をバタバタと走り抜ける音が聞こえ、しばらくすると段々と音が小さくなった。 「あっぶねぇー」 あぐらをかいて休憩する高原君の横に私も並んで座った。 「高原君、これどうなってるの?」 「ごめん、吉野さんまで巻き込んじゃって」 「それは構わないんだけど」 「俺が捕まったら終わりなんだ。だからアイツら必死こいて追いかけてくる」 終わり? 高原君は何かを決意したかのように言う。 「でも捕まる訳にはいかねー、待ってるヤツらもいるし」 ニッと歯を見せて笑う高原君は、少しだけ逞しく見えて。 その顔を見たら、また何かがギュッとなった。 これは何? 「あなたは、一体……」
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