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「俺、ドロなんだ」
「は?」
ドロ……?
彼の答えに、私の思考はストップする。
「俺が最後のドロらしいんだよねー。てかドロになると毎回俺が最後まで残ってるんだけどー」
ドロドロドロ……まさか。
「ドロケイ?」
「そう!」
ドロケイ……
校舎内であんな真剣に。
あんな大勢でドロケイ。
私の中にできかけた何かが。
ガラガラと崩れる音がした。
「あのさ、それって私も付き合わなきゃいけない?」
「いや、全然」
「それじゃ私、帰るね」
もう帰ろう。
帰って、今日の事は、諸々忘れてしまおう。
立ち上がって、スカートについた埃をパタパタと叩く。
「吉野さん」
「何?」
「時間あったら、2階のメインテラスに寄ってみてよ。あそこからだと牢屋がよく見えるから」
「分かった」
そうは答えたけど、メインテラスになんて寄る気はなく、サッサと帰ろうと思っていた。
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