菜摘さんと陵汰くん。

13/24
前へ
/40ページ
次へ
教室に戻って鞄を手に取る。 廊下を歩いていると『こっちだー』『待てー』なんて声が聞こえた。 中学生にもなって、本気でドロケイ。 「ありえない」 他にも、バタバタと走り回る集団が目についた。 「ガキばっか」 2階のメインテラスを通り過ぎようとした時。 ガラスの向こうに、小柄な男の子がグラウンドを見下ろしていた。 高原君ではない。 けれど、気が付くと体はテラスに向かっていた。 大きなガラスのドアを開けてテラスに出る。 先客の男の子は携帯で何か話してる。 校内での携帯電話は使用禁止だけど。 「敦史か?どんな状況だ?……ああ、そうか。……いや、そのままでいい。ただ昇降口と東校舎の入口は絶対に固めておけよ。それから、人数は少なくて良いから、北校舎の渡り廊下にも人を回せ。………なるほど、そうきたか。場合によってはパターンCに変更だ。じゃあな」 驚いた。 携帯で話してたのは黒田だ。 彼も小等部から進学してきた1人。 スゴく真面目な子で、同級生の下らない遊びには見向きもせず、本を読んだり勉強したり。 校則を破るようなことはしなかったのに。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

101人が本棚に入れています
本棚に追加