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教室に戻って鞄を手に取る。
廊下を歩いていると『こっちだー』『待てー』なんて声が聞こえた。
中学生にもなって、本気でドロケイ。
「ありえない」
他にも、バタバタと走り回る集団が目についた。
「ガキばっか」
2階のメインテラスを通り過ぎようとした時。
ガラスの向こうに、小柄な男の子がグラウンドを見下ろしていた。
高原君ではない。
けれど、気が付くと体はテラスに向かっていた。
大きなガラスのドアを開けてテラスに出る。
先客の男の子は携帯で何か話してる。
校内での携帯電話は使用禁止だけど。
「敦史か?どんな状況だ?……ああ、そうか。……いや、そのままでいい。ただ昇降口と東校舎の入口は絶対に固めておけよ。それから、人数は少なくて良いから、北校舎の渡り廊下にも人を回せ。………なるほど、そうきたか。場合によってはパターンCに変更だ。じゃあな」
驚いた。
携帯で話してたのは黒田だ。
彼も小等部から進学してきた1人。
スゴく真面目な子で、同級生の下らない遊びには見向きもせず、本を読んだり勉強したり。
校則を破るようなことはしなかったのに。
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