101人が本棚に入れています
本棚に追加
一階の入口から、5~6人の男の子達が駆け出してきた。
けど高原君はとっても早くて、彼らは追い付けない。
グラウンドにいた8人の男の子が、一斉に高原君に向って走り出す。
高原君はフェイントをかけ相手を翻弄し。
ステップを踏むように軽やかに。
まるでダンスを踊っているように、彼らの手から逃れる。
向ってくる男の子達をかわし続け。
気が付くと、高原君の前には誰もいない。
ジグザグに走ることをやめ、真っ直ぐ仲間達の元へと向う。
グラウンドの中心にお団子のように固まっていた彼らは、自然と2列になり高原君が来るのを待つ。
高原君は、両手を広げ列の中央へ。
仲間の歓声でもって迎えられた彼は、走り抜ける瞬間、全員と手を叩き合う。
弾かれた手の主は、グラウンドを四方八方に散っていく。
それは、打ち上げ花火が夜空に咲いたような高揚感をもたらした。
ドクドクと心臓の音が響く。
「クソ、やられた!」
黒田はテラスの手すり壁に拳を打ち付けた。
「黒田もドロケイやってたの?」
黒田は忌々しげな顔のまま私を見た。
「ケイサツ約30名を仕切ってるのは、この俺だ」
「あ、そう」
小等部の頃は、ドロケイどころか鬼ごっこでさえ、やってるのを見たことなかったのに。
最初のコメントを投稿しよう!