菜摘さんと陵汰くん。

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一階の入口から、5~6人の男の子達が駆け出してきた。 けど高原君はとっても早くて、彼らは追い付けない。 グラウンドにいた8人の男の子が、一斉に高原君に向って走り出す。 高原君はフェイントをかけ相手を翻弄し。 ステップを踏むように軽やかに。 まるでダンスを踊っているように、彼らの手から逃れる。 向ってくる男の子達をかわし続け。 気が付くと、高原君の前には誰もいない。 ジグザグに走ることをやめ、真っ直ぐ仲間達の元へと向う。 グラウンドの中心にお団子のように固まっていた彼らは、自然と2列になり高原君が来るのを待つ。 高原君は、両手を広げ列の中央へ。 仲間の歓声でもって迎えられた彼は、走り抜ける瞬間、全員と手を叩き合う。 弾かれた手の主は、グラウンドを四方八方に散っていく。 それは、打ち上げ花火が夜空に咲いたような高揚感をもたらした。 ドクドクと心臓の音が響く。 「クソ、やられた!」 黒田はテラスの手すり壁に拳を打ち付けた。 「黒田もドロケイやってたの?」 黒田は忌々しげな顔のまま私を見た。 「ケイサツ約30名を仕切ってるのは、この俺だ」 「あ、そう」 小等部の頃は、ドロケイどころか鬼ごっこでさえ、やってるのを見たことなかったのに。
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