菜摘さんと陵汰くん。

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規則正しい寝息。 良く寝てる。 夏休みとは言え、今日も部活だったんだから疲れていて当然か。 隣で気持ち良さそうに眠る男を観察する。 陽射しの中を走り回って日に灼けた肌。 「綺麗」 中指と人差し指で唇に触れ、首を通って鎖骨をなぞる。 腕も胸も腹筋も全て。 「綺麗ね」 初めて出会った時は私よりずっと小さかったのに。 少女のように美しかった少年は。 文字通り誰もが振り返るような、輝かんばかりの青年に成長してしまった。 あの頃も、誰よりも男らしかったけど。 ………… …… 中等部に入学して間もない頃。 小学生気分の抜けない同級生の男には全く興味はなかった。 男というより少年だ。 だからと言う訳ではないが、何故か上級生の呼び出しに簡単に応じてしまった。 私も小学生気分が抜けてなかったんだろう。 自分が女に見られてるなんて。 そして、女として見られることが時として、危険だと言う事を知らなかった。
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