菜摘さんと陵汰くん。

20/24
前へ
/40ページ
次へ
1日目は高原陵汰の中毒性を知った。 2日目は何かの違和感を感じた。 そして3日目の今日。 違和感の理由に気付く。 陵汰は。私のものになんかなっていない。 私は、陵汰にとって大勢の女の1人でしかなかったのだ。 私に向ける優しさは、他の女へ向ける優しさと変わらない。 特別扱いはされても。 『特別な存在』ではない。 陵汰は、再び寝返りを打ち仰向けになった。 耳元に唇を寄せる。 「どうして気付いたか分かる?」 繰り返される穏やかな呼吸。 「あなたは、私にとって特別だからよ」 ゆっくり上下する胸に顔を乗せると陵汰の鼓動が伝わってくる。 私の体温を感じたのか、腰に手が添えられた。 抱き寄せるように触れる手。 彼の仕草は、私の中にある全てを掴んでしまう。 「ねぇ、陵汰」 「んー……?」 「別れたい」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

101人が本棚に入れています
本棚に追加