菜摘さんと陵汰くん。

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「陵汰?」 バスルームから出ると、陵汰の姿はない。 陵汰の部屋に戻ると、タイミング良く机に置いたままの携帯がなった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 差出人:陵汰 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー ゴメン ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 渉に呼び出しくらった~。 悪いけど、出掛けるねm(__)m 親父は出張中で、今日は帰ってこないから、ゆっくりしてっていいよ~。 それから、うちオートロックだから戸締まりはお気になさらずに~♪(´ε` ) ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「嘘つき」 黒田は、彼女と一緒にいる時に呼び出しするような、無粋なヤツじゃない。 それに、私は別れ話の後に気まずくなるような、しおらしい性格でもないよ。 「女の子に嘘はつかないって言ってたくせに」 そんな気遣いいらないのに…… 「あ……」 部屋のすみに置かれたスタンドミラー。 そこに映る女は惨めなくらい、涙を流していた。 別れ話しをしておいて、自分が泣くなんて。 「バカみたい」 陵汰は私よりも、私を理解してる。 初めて陵汰につかれた嘘は。 とても優しい嘘だった。
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