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制服の白いシャツ、着用が義務付けられているリボンはしていない。
短いダークブラウンの髪が風に揺れている。
瞳の大きな綺麗な女の子。
その瞳が、彼らを睨みつける。
怒りに満ちた顔なのに、とても、とても美しい。
彼女に降り注ぐように舞う淡紅色の八重桜。
こんな時なのに、私は彼女に見とれていた。
時が止まってしまったのかと思った。
止まってしまった時間は。
「降りてこいよー」
「俺らと遊ばねー」
彼らの品のない言葉で動き始めた。
いけない。
彼女を巻き込んではダメだ。
あんな綺麗な子を……
『逃げて』と言いたいのに。
私の体は、口でさえ動くのをやめてしまっていた。
逃げて。
逃げて。
逃げて。
心の中で祈った。
ところが、彼女は窓枠に足を掛けると。
「とぉっ」
飛んだ。
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