菜摘さんと陵汰くん。

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淡紅色の花びらが浮かぶ空。 真っ白のシャツと、茶色の髪がはためく。 細いしなやかな体は舞い降りた。 「グエッ」 上級生の1人の上に。 カエルが潰れたような音を立て、その男はうつ伏せに倒れた。 妙な事に気付く。 彼女はスカートを履いていない。 「お前っ、おと……こっ!?」 傍にいた上級生が、言い終わるよりも先に。 深いブルーのチェックのズボンに包まれた脚は、その男のお腹に伸びていた。 何故、男子の制服を着ているんだろう? それにしても2階から飛び降りようなんて、よく考えたものだ。 スゴい度胸。 そんなことを考えていたら、彼女は体をひねり回転しながら、踵をもう1人の上級生の膝横にぶつけた。 鈍い音が響く。 この子、もしかして強い? 「こっち!」 その子は私の手を取ると走り出す。 「俺は1年D組高原陵汰。覚えとけ、バーカ!」
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