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「ふふ」
眠っている陵汰を、起こさないよう小さく笑う。
ズボン履いてたのに。
私は彼女が、陵汰が男の子だということに、しばらく気が付かなかった。
「あちぃ」
陵汰は、掛けていたタオルケットをはいで寝返りを打つ。
露になった広い背中に手をやると少し汗ばんでる。
汗っかき。
ベッドサイドに置いていたリモコンを取り、エアコンの設定をドライに変えた。
インターハイが近い。
体調管理もしっかりしないと。
「怒られるよ」
メガネの友達に。
…………
……
記憶は再び3年前に戻る。
「ハァハァッ」
北校舎を通り過ぎ、入り組んだ校舎の中をグルグルと走り、南校舎まできた。
渡り廊下の柱に寄りかかる。
私は大きく肩が上下するほど息切れしているのに、この子は少しも疲れた様子はない。
呼吸が落ち着いたところで聞いてみた。
「あなた男の子?」
「ごらんの通り」
いえ、見て分からなかったから聞いてるんだけど。
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