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「あのさ、俺ら同じクラスだよ」
「えっ」
「ひでー」
そう言えば、さっき彼は。
『俺は1年D組高原陵汰。覚えとけ、バーカ!』って叫んでたっけ。
数少ない友人に、もっと他人に興味を持てと、私は注意されることが多い。
「ごめん、高原君」
「リョッピーでいいよぉー」
「それは嫌」
「ヒドーい、さっきから吉野さんヒドいよー」
高原君は、整った顔をクシャリと歪めた。可愛い。
「ねぇ、どうして私の名前知ってるの?」
「俺、女の子大好きだもん。クラスの女の子の顔と名前は初日に全員覚えた」
「あそう」
けど、ウチのクラスで誰よりも可愛いのは、きっとあなただよ。
私は愛らしい美少女……ではなくニコニコと私を見上げる小柄な少年を見つめ返し、ため息を吐き出した。
この子は、人を脱力させるところがある。
さっきまでの緊張感は、どこに行ってしまったのだろう。
さっき……
「あっ」
彼は、あの上級生達に名前と学年とクラスまで言ってしまっている。
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