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ラクシアに別れを告げ、僕とニア学園長はアカデミーを後にする。
門を抜けると、ニア学園長は一度振り返り、可愛らしく深々とお辞儀をした。
「外に出るのはどれくらいぶりですか?」
「んー……60年?」
「それはそれは……」
人生の殆どを費やしてきた学園生活。
そこから離れて生活する事への思いは、僕には計り知れない。
街道へ出ると道端の雑草すら感動ものなのか、ニア学園長は時折り足を止め、嬉しげに眺めては喜びをあらわにした。
大分スローペースでの旅路となりそうだが、急いては事を仕損じると言うし、焦っても結果は変わらないだろう。
それに、善意で協力してくれているニア学園長へ最大限配慮をしたいとも思うし。
アカデミーから離れるにつれ、ニア学園長はおのぼりさんの様に周囲を絶え間なく見渡す事は無くなっていった。
次第に慣れ始めたのだろう。
僕達が向かっているのは王都サイフォリアで、そこで王に謁見し”乗船許可証”を貰う為だ。
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