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数日後。
久方ぶりに訪れた王都の外壁を眺めながら、相変わらず来訪者に優しくない造りだと溜息を一つ。
巨大な街門前で警備をする門番へ認可証を提示すると、一年前に訪れた時とは全く違う態度で出迎えられた。
「これはこれは……どうぞお通り下さい」
「あ、ああ。どうも」
改めて認可証の影響力を実感した僕は、やや気圧され気味に苦笑しながら中へ入った。
街路樹の点々とする大通りを並んで歩きながら、僕はニア学園長に問い掛ける。
「そういえば、アカデミーの学園長になるまでは何をされていたんですか?」
「えっ……まあ、いいじゃない」
乙女の秘密です――と、口元に人差し指をあてながら答えたニア学園長は、人には色々と歴史があるのだと補足した。
特に詮索したつもりはないのだが、どうやら触れてほしくない内容だったらしい。
隠されると余計に気になってしまうのは人の性だろう。
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