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「フェイト君! とりあえず逃げよう!」
「え、ええ。”精霊の守護”発動」
僕の手を掴み走りだそうとしたニア学園長にあわせ、障壁を展開し兵士達の攻撃に備えた。
『逃がすなぁぁぁ! 追えぇぇぇ!!』
兵士達の剣を弾き飛ばしながら、一目散に逃げ出した僕達。
後方からは数名の兵士達が剣を掲げて追いかけてくる。
王城前の巨大な通りには数多くの勇者メンバーがおり、実力の程は分からないが緊急事態だと僕らを取り囲んだ。
「くっ……!」
完全に囲まれた。人数は凡そ40名。
さすがの僕でも、これだけの人間から一斉に攻撃を受ければ堪ったものじゃない。
困り果てていると、人垣の奥から顔を覗かせたクラウスの悪意に歪んだ表情が目に入った。
「――”ムーブ”!」
しかし、ニア学園長が詠唱破棄で転送魔法を発動させ、僕達は光に包まれる。
それを転送魔法だと判断したクラウスが、焦り気味に声を荒げた――が、僅かに及ばず僕の視界がグニャリと歪んだ。
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