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そして、街から程離れた街道に景色が移り変わり、安堵した僕は胸を撫で下ろす。
「はあ……何が何やら……」
「まさかサイフォリア城にいるとは思わなかったわ。就職したとは聞いていたけど……」
聞けばクラウスはアカデミーを卒業するにあたり、勇者の資格を得られなかったそうだ。
コネを使い就職したまでは把握していたが、ニア学園長は詳しい事までは知らなかったと。
要するに、勇者になれなかった原因は僕達にあると考え、この一年間只管に恨みを溜めていたのだろう。
いずれ僕達が王城を訪れた際に復讐する為、あそこに就職したと考えれば合点もいく。
――ほんっと迷惑な人だね……
問題はこれからだ。
あれだけの騒ぎになれば、何かしらの罰を与えられる可能性もある。
事実関係の有無は関係なしに、王都を騒がせた罪として……だ。
理不尽ではあるが、この世界では善悪より権力が上回る。
今後の旅は警戒しつつ進むしかないだろう。
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