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私は部屋を出た後、ひたすら出口を探した
しかし、次第に胸に貫かれた傷は酷くなり思わず――――泣いた
ハァッハァ――――――
ヴッ…ウウ……………
産まれて初めて泣いた
ただの痛みで泣いた訳ではなく、自分自身の姿で泣いた訳でもない
お母さんに会いたいよぉ…………
「誰だって産まれたら母さんに思いっきり甘えるもんだろ?
私だって今でも会いたいさ、母さんに………」
えっ誰?誰なの!!
するとその時、声が聞こえた
大勢の人が何やら慌て様で会話をしている声を
内容は「実験体が逃げ出した」だった
背筋が凍った
何故なら自分のことだと思ったから
さらに声の次に、拳銃に弾を入れる音が沢山聞こえた
さっきみたいに撃たれる
私は怯えるようにその場を離れた
「しかし、気づいてなかったんだよ。自分が聞いた声は約1キロ離れた監修の部屋だってことを」
それでも生きたかった
産まれて母親を見ずに死ぬのは―――――嫌だった
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