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白いベールに包まれたカプセル
その中にいた――――――黒髪の少女
自分がされていた実験室よりここの周りには沢山の機械が置いてあった
機械が置いて有る分、彼女の体に大量のケーブルとホースが付けられていた
実に痛々しい姿だった
助けてくれてありがとう
僕は……………
『クスッ♪安心して、私も名前がないの』
声だとにこやかなしゃべり方をしているのき、カプセルの中の彼女は表情すら変えていない
彼女は私の心を通して会話をしている
体は身動きがとれないけれど、こうした会話はできるみたいだ
ねぇ、いきなりで悪いんだけど僕のお母さんを知らない?
『…………貴方のお母さん?』
そう!さっき僕は産まれたばかりなんだけど、知らない人ばかりでお母さんが見当たらないんだ
『………知らない』
そっか…お母さん僕を置いて何処に行っちゃったんだろ
『聞いちゃ悪いと思うけど、貴方は何の実験体に?』
実験?僕は………………
私は改めて部屋の鏡を見た
赤い髪にオオカミの顔、ギョロギョロさせた自分の目そして――――――成長した自分の姿
『さっき貴方は`産まれたばかり'とか言ってたわね?
もしかして急激な成長を遂げる薬の実験でもさせられてたんじゃない?』
急激な成長?
『私の場合、`火の鳥'っていう生き物の細胞を入れられたんだけど………
見ての通り失敗しちゃってさ
カプセルの中にしかもう生きられないんだ…』
本当に?息も吸えないの?
『ええ、一生カプセルの中よ…』
私はその時、彼女を可哀想だと思った
自分もやっとのことカプセルから出れた時の、あの空気を吸う安心感をもう味わえないなんて…
ねぇ、いっしょに逃げない?
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