母親の鼓動

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目は開かない、体は動かない、まだ胎児になりかけだった私の運命は――――その時から変わってしまった あれ? 音が、消えた? いつも止まることなく鳴っていた音が、無くなった? 暗い……冷たい…寂しい… なんだか………怖い……怖いよ… でも大丈夫。きっと母さんは僕のことを… 大丈夫………大丈夫…… ただ、ひたすら守られていると願うしかなかった だが、もう遅い その時から母親の温もりを奪い去られたことも、自分が何処にいるのかも知らず 「そのはずだ。私はその時既に小さなカプセルに、何人もの研究員たちに`人体実験'をさせられていたのだから」
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