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「お前は、No.1092
我々の唯一実験体の中で成功したことは褒めてやる
今から我々がお前の親だ
」
えっ?
私は動揺した
私の目の前にいるのはただの研究員たち
自分自身でも分かっていた
こんな奴等が自分の親のはずがないと
しかし、次に発せられた言葉に私は耳を疑った
「なお、実験の結果で私らはお前より遥かに強い人間を作ることになった、それで……お前は今日限りで死んでもらうよ」
その研究員は私に拳銃を向けた
恐怖はなかった、だから―――――――死ぬのも怖くなかった
「今でも引きがねの音は覚えているよ」
その瞬間ドーン!!と、耳が張り裂けそうなくらいの大きな音と共に
バタリッ
私は倒れた
聞こえたのは研究員たちのあざ笑う声と、次の実験にむけての話し合いだけ
動かなくなった私は目の前にあった鏡を見て悟った
僕は人間じゃないんだ
写っていたのは研究員みたいな人の姿ではなく――――一匹のオオカミだった
私の名前はNo.1092
今日産まれて今日死んだ
はずだった
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