人体実験

3/12
前へ
/94ページ
次へ
「お前は、No.1092 我々の唯一実験体の中で成功したことは褒めてやる 今から我々がお前の親だ 」 えっ? 私は動揺した 私の目の前にいるのはただの研究員たち 自分自身でも分かっていた こんな奴等が自分の親のはずがないと しかし、次に発せられた言葉に私は耳を疑った 「なお、実験の結果で私らはお前より遥かに強い人間を作ることになった、それで……お前は今日限りで死んでもらうよ」 その研究員は私に拳銃を向けた 恐怖はなかった、だから―――――――死ぬのも怖くなかった 「今でも引きがねの音は覚えているよ」 その瞬間ドーン!!と、耳が張り裂けそうなくらいの大きな音と共に バタリッ 私は倒れた 聞こえたのは研究員たちのあざ笑う声と、次の実験にむけての話し合いだけ 動かなくなった私は目の前にあった鏡を見て悟った 僕は人間じゃないんだ 写っていたのは研究員みたいな人の姿ではなく――――一匹のオオカミだった 私の名前はNo.1092 今日産まれて今日死んだ はずだった
/94ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加