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バタンと部屋の戸を閉める。
部屋の隅で丸くなってたトラキチを抱き上げて座椅子に座った。
いっぺんに沢山のことがありすぎてあたしは疲れきってた。
コンコン…
「…アヤ?」
「何?」
「ぁ、いや…今日は急に話しかけてすまん…」
「…別に…てかとりあえず入れば?」
「ぇ?ぇえの!?」
ガチャっと戸をあけて入ってきた翔は何だか嬉しそうだった。
「良かったわ~俺もしかしたら嫌がられとるんちゃうかと思ってん」
ー半分当たりだけどね
内心そう思いつつ聞いてみる。
「お母さん亡くなったってホント?」
翔は突然の質問にびっくりしたみたいだけどすぐに微笑んで話し出した。
「ホンマやで。オカン元から体弱かってん。せやのに俺んためにずっと働いてくれたんや。それがアカンかったんやなぁ…」
フーッと息を吐く。
「ネコは?向こうに置いてきたって言ってたけど」
「あいつは隣のおばちゃんに預けたわ。さすがに連れてこれんやろ」
「そだね…お母さんは…ネコ好きだったの?」
「大好きやった。よう捨てネコ拾ってきたわ。けど…そんな中でオカン脳梗塞なってもうて…そのまま…」
そこまで言って
翔は顔をふせた。
途中から涙声だったのを抑えてたみたいだったけど
耐えきれなかったみたいだった。
部屋にトラキチがいて良かった。
トラキチを撫でてれば隣で泣いてる彼を見なくてすむから。
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