ナツシグレ

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机に視線をもどす。 数学のプリントが3枚。全て裏表印刷で全く手をつけてない。 あたしは数学が嫌い。昔から数が関わるもの全てが苦手だった。 なので全くやる気がしない。 「アヤ、手ぇとまっとるで」 プリントをただ眺めてるあたしを見て翔は「早よやれ」と促す。 促しても分からないものは分からないんですけど。 「貸してみ」 翔はそんなあたしに気づいたのかプリントをよこせという。 わたしてすぐに翔はシャープペンを動かす。 「はい」 1~20の問題。半分の10問が解かれていた。 なんつぅ早業。 「あとはコレ見たら全部とけるはずやから」 「おおきに」 ベタベタな関西弁でお礼を言うとめちゃくちゃ嬉しそうに笑った。 「ほな早よ終わらせてどっか行かへん?」 「は?どこに?てか何で兄妹で…」 そこまで言ってはっと口をつぐむ。 ーしまった… 翔はにんまりと笑みを浮かべる。 「なんやぁ…やっぱり兄妹やと思ってくれてるんやなぁ」 頭がまわるだけコイツが憎たらしい。 あたしは前に「あんたなんか兄だとは思わない」と宣言してたのだ。 だから「お兄さん」と呼んだことは一度もなかった。
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