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なのに、だ。
まんまと「兄妹」と口にしてしまった。
あたしとしたことが。
「お兄ちゃん感動やなぁ」
「ばか。ふざけんな。ついこのまえまで存在すら知らなかったヤツをあたしは認めてないからね。」
もう一度言うと、うーんと唸る。
「ほなそれでもええよ。デートしよや」
「だから何でお前はそっち方向にいくかな。だいたい高校と中学って結構離れてるだろが!」
「アヤ甘いで。愛に年の差は関係あらへん」
冗談じゃない。
ついこのまえまで他人だったやつに言われるほどシャレにならないものはない。
「なぁ~どっか行こうや~。せっかくの夏休みなんやしぃ」
だがせっかくの夏休み。こいつの言うとおりどっかに行きたかった。
「じゃあとりあえずコレ何とかしてよ。」
指差す方向は数学のプリント。
「任せろ。ほなコレ何とかしぃや」
翔が指差すのは家庭科のプリント。隣には家庭科の教科書が転がっているが空白は埋まってない。
「交渉成立」
2人でガッチと手を組みその後は猛烈な勢いで空白をうめていた。
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