ハルハジメ

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「お前が妹か」 「…………は?」 これ以上ないくらい呆れ果てた顔をしてたと思う。 そりゃそうでしょう。いきなり現れた金髪男。身なりはパンク。しかも関西弁… 学年を聞いたかと思えば急に妹…? 「人違いです」 自分でも驚くほど相手を睨んでた。 「いや、お前や」 「どこをどう考えたらそうなんだよ」 かなり苛ついてきたあたし。さっきまでの怯えはなかった。 「だから」 金髪男はにっこり笑う。 「俺がお前の兄貴。つまりはお兄ちゃんや」 んなことくらい分かるんだよ。兄貴の意味を知らないヤツなんて生まれたての赤ちゃんくらいだ。 「そうじゃなくて」 「ん?」 「あたしは母と弟の3人暮らしなの」 「うん」 「だからアナタみたいな人は家族にいません」 ハッキリ言うと金髪男はちょっと黙る。 少し凹んだみたい。 でもあたしには関係ない。だってあたしの家族は母と弟だけだもの。 あたしは友達に行こう?と合図して歩き出した。
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