ヤマトの国で

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よし、気分改めて、ヤマト満喫するぞ! 「じゃあ、まず店でも周るか。」 丁度町中に転移したんだから。 「解った。 宿では俺が飯作るから、野菜とかもいるしな。」 そう言いながら、近くの八百屋に入って行くアルト。 彼奴、自炊できたんだな。 まさかあれか? 最強系主人公の料理は、五つ星レストラン並みに美味いっていう、王道か? 「おーい。 早く来い、武史。」 アルトに言われてハッとなった俺は、すぐに八百屋に入った。 中と言っても、オープンになっているけどな。 「いらっしゃい。 おっ、こりゃまた、すごい美人さんが来たね。 しかも大陸の。」 八百屋のおばちゃんは、アルトを見るとそんな事を言った。 アルトはおばちゃんの言葉に、首をかしげている。 俺はイケメンじゃないぞって顔しながら。 やっぱ鈍感か…… 「おばちゃん。 またって事は、他にも来たのか?」 しかも美人さんって事は、女の子かもな。 「ああ。 今日の朝方、店開けたばっかの時にね。 二ヶ月ぶりに見たけど、相変わらず美しい子だったよ。 ルミナちゃん。」 えっ?ルミナ? もしかして… 「ルミナって、ルミナ・レン・シャイラか?」 そう言った時、アルトの肩が小さく震えたのが分かった。 その顔には憎悪や恐怖なんかはなく、ただの恋する乙女の如く頬を赤らめて口角が緩んでいる。 あまり見ないが、もう一パターンある王道主人公の話。 母親と共に自分を庇ってくれた異性に恋をする。 ミシェルじゃなくて、ルミナがヒロインだったか。 俺が読んだのは王女だったが、やっぱり小説の通りになることなんて、ある程度しか無いようだ。 ドンマイ、隆司。 ルミナはヒロインという名の、高嶺の花だったみたいだ。 小説では光の貴族は勇者に惚れるんだがな。 「そうだよ。 ルミナちゃんを知ってるって事は、ユーリトス国の人かい? いやー、ルミナちゃんは凄いね。 ルミナちゃんの着物姿見るために、観光にくる人もいるしさ。 舞だってなんかの称号頂くくらい、上手いんだろ。 それに忍者修行だって…………」 なんかおばちゃんがルミナについて、語り出したよ。 アルトはめっちゃ真剣に聞いてるし、って、今度はメモってる!? どんだけベタ惚れなんだよ!? それからおばちゃんは、小一時間程喋り続けた。
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