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次の日の朝。
俺はギルドマスター室の前にいた。
ノックすると中から
「入ってくれ。」
という女性特有の澄んだ声が聞こえた。
ここのマスターはよくある美人な戦闘狂かもしれない。
紹介されたギルドが“神々の剣”で良かった…
「失礼します。」
中に入ると案の定、美人さんともう一人、綺麗な青髪青目のイケメンが居た。
そう、イケメンが。大事な事だから、二回言った。
十中八九、このイケメンくんが王道最強主人公で総帝だろう。
総帝の所属ギルドは、“海の聖者”だし。
因みに総帝、全帝、風帝も“海の聖者”。世界最強のギルドだ。
光帝、俺、隆司は“神々の剣”。総帝と全帝が就任する前は、世界最大にして最強のギルドだった。今でも最大だが。
雷帝はハーティー商国の、“鬼の酒盛り”。
闇帝はヤマトの、“孤高の旅人”。
土帝はとある小国の、“隠れ出世道”。
火帝と水帝はガルト帝国の、“想像の賜物”。だ。
「原田武史だな。
私は“海の聖者”ギルドマスターをしている、シェリー・バイオ。
でこっちが息子の、」
シェリーさんがイケメン君を指す。
「案内役に指名された、アルト・バイオだ。
よろしく。」
アルトが手を差し出してきた。
爽やかな笑顔で…………
うん。イケメンって有利だ。
何気無い笑顔でも、めちゃくちゃ似合ってる。
「原田武史だ。こっちこそよろしくな。」
俺も負けじと笑顔で握り返す。
違和感があると思ったら、アルトの人差し指には銀色の金属に透明で小さな石がついた指輪が窓からさす日差しを反射していた。
これが、魔力抑制具か?
「よし。挨拶は済んだな。
それじゃ、これを付けろ。」
シェリーさんの手にはアルトのものと同じ指輪。
抑制具じゃなかったか。
「それは、転移の魔道具だ。
此処とヤマトを往復できる魔力を込めてある。」
それを聞いて、俺は指輪を嵌めた。
「ピッタリだな。
じゃあ、魔力を流してみてくれ。」
言われたとおりに魔力を流すと、周りの景色が一変して、時代劇で見たことあるような場所にいた。
「って、お礼言えてない。」
俺が少し落ち込んでいると、いつの間にか隣にいたアルトが俺の肩に手を置いた。
「母さんはいつもああだから、気にしなくていい。」
何だ、励ましてくれたのか。
いいやつだな。
多分天然たらしだけど……
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