劣情

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「別れたんだって」 グラスの氷がカシャっと鳴った 「去年… 貴方は?」 左手をかざした彼の骨ばった指 「来月」 あの頃と変わらない彼の声 「おめでとう」 上目遣いに彼を挑発する   口説いて… 「私は変わった?」 視線が絡まって、時間さえ絡ませる 口説いて… 「何一つ」 グラスの残りを流し込む貴方 だから… 口説いて… 少しだけ彼の方に寄せていた右手 意識して置かれていた右手が重なり合う もっと… 口説いて… 「必要以上に酔わされた」 重なり合った指が私の指の間を這う そう…口説いて… 貴方と深く繋がりたいから 口説いて… 口説いて… 口説いて…
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