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あの日から、数年ぶりに逢った彼女は
更に色気を備えて
あんなに焦がれていた彼女を、いざ目の前にすれば
どうしていいのか、思考が停止して…
学会が終わって興味無い会場に来たのは、彼女をもっと感じたかったから
ぴったりと張りついている男に微笑んだ横顔は
変わらずに美しくて
嫉妬心が沸き起こって
声を掛けようかと躊躇っていたのに
言い寄られていた奴は最悪で
考えるよりも早く動き出した身体
「久しぶりですね」
彼女との距離を広げたくて、自意識過剰の男に声を掛けた
邪魔だと言わんばかりの眼差しに、愛想笑いで会話を成立させていく
少しずつ離れていく彼女にホッとしながら後ろ姿を見送った
「あなたも気に入ったのかな」
吐き出された言葉に冷たい視線を投げつけて
「あれは特別ですから」
会場から去ってしまった彼女の姿を
あの時の気持ちを追いかけるように
エレベーターに乗り込んだ姿が消えてしまう前に
その想いだけで駆け出した
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