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普段の生活の中でなら、彼を名で呼んでも傷まない
でも、行為中に呼ぶ事はどうしても耐えられない
あの人との、唯一の思い出が塗り替えられてしまうような気がして…
グッと痛いくらいに両手首を掴まれ、ベッドに貼り付けられて
目を開くと、苦しそうな彼の表情
動きを止めて私の中から抜け出して
「………もう…いいよ…」
力無くベッドから遠ざかっていく姿は、あの時の彼とダブって見えて
あぁ… もう戻れない
そう、感じて
ズキズキと赤い血を流した心は誰の為だったんだろう
あれが私達が壊れた瞬間だった
その後は、互いに傷を見せないように
忙しさを理由に、まともに顔を合わせる事もなく
記入された離婚届け
それを一人で提出し、引っ越しも業者に任せて
私の世界は私だけのものになり
自由と引き換えに孤独を手に入れた
貴方から彼への別れ話が、私の弱さを見透かされているようで
だから精一杯の去勢をして見せた
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