慕情

10/10
前へ
/70ページ
次へ
その腕によって連れ去るように引かれて 酔いも手伝ってか、ふらふらとしながら 溢れそうな涙を必死に拭って 彼のなすがままに… 閉じこめられた薄暗い空間 私の部屋より広い空間、そして… 浮かび上がるのはダブルベッド なんで…一人じゃ… でも、私をここに連れて来たって事は 来られなかった誰かの代わりなのか… 理由は分からないけれど、目の前の事実にまた胸が苦しくなった だから、さっきまで迷っていたのかも知れないと それと同時に悟った 彼は始めから正直だった ちゃんとパートナーの存在を示し、それを認識したのは私 だから、それに傷付くなんて権利は…ない 立ち尽くした私の身体を 後ろから抱き留めた彼の身体が、何故か冷たく感じた それは…彼の心の温度なのか それとも、私との…温度差なのか それでも 貴方が欲しいと 願うの私は、どれほど卑しいのか…
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

360人が本棚に入れています
本棚に追加