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病院につくと、大声で「プラタナスを助けて下さい」と両親は叫びました。
小さな病院なので、そんな大声を出さなくても良いのに、それほど両親は取り乱していたのです。
慌てて、産婆が顔を覗かせました。
「プラタナスが…プラタナスが!!」
両親は慌てすぎて上手く喋れません。
産婆もその雰囲気にのまれ「急いでこちらに!うちでは診察しかできないかもしれませんが…。」
と、すぐさまベッドに案内させました。
「あぁ、この子は確か私がとりあげた女の子ね」
「それにしても、見事な髪。それに比べて何て貧相な体なの…可哀相に」
「体が冷たく、肌の色も悪い、血が巡っていないようね」
「目が窪み、ひどく充血してる。周りは小さな赤い斑点があるわ、内出血を繰り返してるわね」
「静かな脈だけど正確に刻んでるわ」
「目立った外傷もないわ」
産婆は一つ一つ言葉に出しますが、父親は黙ったまま、母親にいたっては祈っています。
「ほとんど寝ていなかったようですね。涙も流していたようですし…、何か体の不調を訴えてきましたか?」
父親は答えます。
「普通ではないと思い、何度も体調について聞きましたが、問題ないと言ってました」
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