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「私の診る限り、軽い栄養失調と貧血。後は、寝不足からくる酷い疲れでしょう。一日、うちで預かり様子を診ます。ご両親は一度お帰り頂き、明日いらっしゃって下さい」
産婆は少し強めにハッキリと言い切った。
それを聞いて両親は驚きます。
父親は立ち上がり、
「栄養失調ですって?しっかりと食事は与えてますしそんなはずない。しかも、預けるなんて!女の子ですよ?それでなくても、町の連中は好き勝手言ってやがる!これ以上、この子の評判を落とす訳にいかない」
母親は目を見開き、
「私から、この子を奪うつもりね!大きな病がないのであれば、ここに預ける理由がないわ。家に連れて帰って、私が側について安心させてあげないと!この子は私を必要としているの」
両親は様々な理由を述べましたが、産婆は冷静に言います。
「眠っている彼女を抱き起こし、そのまま家に帰るのですか?ゆっくりと眠っている今も彼女の治療なのです。子供が我慢しているのですから、大人も我慢しなくてはいけません」
両親はそろって言います。
「我慢なんてさせてない!」
産婆は、ただ一言、
「明日、お待ちしています」と言ってプラタナスを預かる準備を始めてしまいました。
両親は、怒りと悔しさから「ヤブ医者め!我が家の財産を奪いやがって!」
と罵りました。
それだけでは飽き足らず、町中でも散々、皆に言いまわりました。
最初は半信半疑だった町の人達もプラタナスの両親の熱弁に心が揺れ、同情し共に「財産を全て奪うヤブ医者」と罵りあいました。
「空っぽプラタナス」と馬鹿にしていた人々も一緒になって罵り、両親に同情の言葉をかけました。
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