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それに、と彼女はネレフの側のガラスケースに目をやる。そこには、前回セリアから買い占めた武器が丁寧に飾られていた。
全て同じ種類の剣。
確か見た目の装飾は派手だけど重いうえに切れ味最悪の武器だったはず、と前回の記憶をたどる。
全く使われていない新品同然のその剣に、さすがの彼女も参ってしまう。
武器屋であるセリアにとって、どんな武器でも最大限に使われないのは不愉快以上の何ものでもない。
しかしこの時代、武器屋に就いている限り、多少なりとも我慢しなければならないことでもあった。
ーーそもそも武器屋とは何か。
武器屋とは名前の通り、武器に関する製造や売買を生業とする職業の総称である。
特セリアのような売買を目的としている武器屋は、彼女のように国中を駆け巡る者もいれば店を持つ者もいる。
ただし、彼女のような武器屋は近年メルシアでは減少している一方である。
メルシア連邦王国。
今や世界有数の超大国になろうとしているものの、それはつい数年前の東北戦争後のこと。
メルシアは、戦争終戦時に統合された五つの国々から創られている。シリア地方もその一つ。
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