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「じゃあ私、来ると思う」
セーターの袖口を撫でつつ、明理は笑った。
怪しいものを探る、不審がるような目をして、鬼島は呟く。斜に構えた態度で、邪推する。
「来ると思う。ねぇ」
(来て欲しい、じゃないのか)
鬼島は目を瞑る。少し間を空けてから、台本か何かを読み上げるように、すらすらと台詞を口にした。
「明理ちゃんは、どうしてそう即答できるのか。賭けだって言ってんのに、不思議な話だ。何の確証があって、そんな判断ができるのか。妙なことだ。恐ろしいことだ。だけど、それらを踏まえて、今から掛け金の設定に移るけど、いい?」
「何? お金じゃないよね? そんな愚直(ストレート)なことは言わないよね、鬼島さん」
明理は身を乗り出して尋ねた。鬼島の話に興味を隠しきれないという様子だ。
にやり、嫌な笑みを浮かべて、鬼島は答えた。
「私が勝ったら、明理ちゃんは何でも一つ私の言うことを聞く。私が負けたらその逆。どう?」
「乗るよ」
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