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 明理は即答した。その顔には、眩いばかりの笑みが。  それに対して鬼島は、鳩が豆鉄砲を食らったような、何ともいえない表情が上手く出来ていた。 「…………参ったな。逆に面食らったよ」  今度は鬼島の頬を汗が伝っていく。引きつりかけの口角は、少し震えているようにも見えた。 「……えー、明理ちゃん。分かってる? 私が何を言ったのか、自分が何を言ったのか。まさか明理ちゃんが、こんな低俗な要求に、それも即決で応じるとは思わなかったんだが」 「? うん。大丈夫だよー、私、鬼島さんのこと好きだし、信頼してるもの」 「そんな変なことをお願いする気は無いんだけどな……」  じわり、鬼島の頬や額や首筋ににじむ汗の量が増える。気温と湿度の関係か、それ以外の要因によるものか。 「本当、私は明理ちゃんの判断力が恐ろしいよ……。何でそんなに自信を持って賭けに出られるんだ?」  鬼島は思いつきを口にする。 「何か、私の知らないことや気づいていないことを、明理ちゃんは握ってるってことなのか」 「えー? 別にー? なんにもないよー?」  明るく、あざとく、わざとらしく言った。
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