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僕が車の前に来るとざわざわという声とともに人がいた。これだけ大きな音がしたのだから仕方ないだろう。そう思い車の中を覗く。
『これ…運転手のお兄さんはともかく補助席の女の子助かるのかな?』
そう心に思った響であったがすぐにおかしいことに気付く…
車は左後方からぶつかっており、確かにがれきなどが飛んで出血したのかもしれない。しかしそれだけでこうなるものなのだろうか? それに気づき、その後
『あーあ…きれいな髪や顔が台無しだね 目元が垂れてるけどそれもかわいいのに』
そう余計なことも考えたのだがそんなことを考えている事態じゃないと気付く。
「電話電話…いや、ここは周りの人に助けを…そういえばなんでみんなあっちにたまってるんだろ?」
周りにはすでに人垣ができるほど人がいる…いくらかこちらにもいるがその多くは車の前方10mほどにたまっている。どうしてこちらには人がいないんだろうか?
「あの、すいません救急車を呼んでもらえますんか?」
これでも学校での知識だけではあるがこういう事態の対処法は心得ている。僕がパニックになるわけにはいかない!!
「あ、ああ…今呼ぶ…大熊!仙道!」
「よし、じゃあ俺とお前で中の二人を救出するぞ!」
「ええ!? 救急車が来るまで待ってた方がよくね?」
いや…それじゃあきっと気を失ってる運転手はともかく女の子は助からない…
『これだけ前向きに救助に当たる人がいれば僕いらないんじゃ…』
僕は揺らいだ気持ちを押さえつけるかのようにドアを開けた…
「おい! 大丈夫か? …くそ、気を失ってて重い」
「うわ!?こいつ血だらけじゃねえか…触ったらまずくね?」
「…? これ今した怪我じゃねえぞ!」
「「え…!?」」
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