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ダルい午後の授業を終えれば、
「ホンットーに見に行っても大丈夫!?」
念を押すメイに「大丈夫」と頷いて。
というか、今までアキの言うことを守っているメイが可愛くて仕方ない。
「きっと試合に集中しちゃったら外野なんて見えなくなっちゃうから。そしたらメールするからおいでよ」
そう言うとメイはコクンと頷いた。
「忘れないでね!」
投げかけられる台詞に苦笑しながら手を振って部活に。
今日は紅白戦だからゼッケンを用意して、それから――。
「先輩、タオルはこれでいいですか?」
「うん、あとスコアボード忘れないでね。新しいのに変わるから」
後輩のマネージャーにもそう指示をしてゼッケンの枚数を確かめる。
それから体育館へ行って。
「それじゃチーム分けをする。白は俺と――」
彼がいたときとは空気が違う。
気がする。
練習のハードさは変わらないと思う。
それでも違うと思うのは、あの笑顔が無いから。
「――ん、真咲さん!」
「あ、うん、なに? 藤井君」
ハッとしてそう答えるとアキは少し首を捻って。
「熱でもある?」
そんな言葉に美穂は「ごめん」と肩をすくめた。
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