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「あぁ、アリーだ。朝ご飯の時間だから」
こちらは夜だというのにあちらは朝で。
凌と呼ぶ声も日本とは微妙に違ったり。
「美穂」
「あ、はい」
「アリーと話す?」
「えっ? や、そんなっ、あたし英語はさっぱりって知ってるじゃないですか!」
焦ってブンブンと首を振る美穂に凌は少しだけ困ったように笑って。
「本当に10歳の女の子なんだよ?」
なんて。
遠く離れてるからこそ、相手が気になって仕方ない。
それは当たり前の事かもしれないけれど、彼がそれを気にかけてくれてるのが嬉しい。
そんな会話をしてる間にもまた「リョウ!」と咳かすようなアリーの声が聞こえてきて。
「疑ったりしてませんって。ほら、早く行ってください」
「うん」
「今日も頑張って!」
「ありがとう、美穂」
彼は朝に相応しい笑顔を美穂に見せて、通話は切れてしまった。
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