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彼は朝に相応しい笑顔を美穂に見せて、通話は切れてしまった。
消える画面になんとなく寂しさがこみ上げてくる。
だからってもう泣いたりするのは可笑しいから。
「お風呂、入ろっかな」
誰もいないのにそう口にして立ち上がった。
次の日も普通に訪れて、お昼の時間だってやってくる。
前はいつも真由美と食べていたけれどいまはもうクラスだって違うから食べる相手も変わってきて。
「美穂ー! お昼食べよ!!」
隣から聞こえてくる声に「うん」と答える。
「今日も手作りなんだ?」
そんなセリフにも「作ってくれる人、いないからね」なんて笑いながら答えて鞄からお弁当を。
「メイはお母さんでしょ? 羨ましい」
そう言えば目の前にいる彼女は少し頬を膨らませて。
「でも昨日の晩御飯の残りだもん」
なんて少し拗ねてみたり。
彼女の名前は春日メイ。
3年になって同じクラスメートで、席の近さから仲良くなった友達のひとり。
二人で机を合わせてお弁当を広げて――、
「あたしも一緒でいい?」
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