2453人が本棚に入れています
本棚に追加
少し遠慮がちな声に顔を上げると、
「真由美、どうしたの?」
隣のクラスになってしまった真由美が立っていた。
「別に」
「だってコータは?」
その名前に真由美は唇を尖らせて。
「だから、『別に』なんだよっ」
そう言われて。だから、美穂は苦笑混じりに、
「じゃ、外で食べよっか」
と立ち上がった。
もう梅雨入りしたというのに気持ちのいい天気。
なのに、
「で、何かあった?」
「……」
美穂の隣にいる真由美は仏頂面で。
「真由美」
その声にやっと顔をあげた。
「だって『歯に海苔が付いてる』って」
「……はい?」
最初のコメントを投稿しよう!