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始まる紅白戦。宙を舞うオレンジのボール。シューズと床の摩擦音にボールが弾む音。
その景色は変わらないようでやっぱり違う。
「コータッ、スリー!!」
アキの声にコータが3Pラインの外からボールを放る。
それは赤いゴールの縁にぶつかりながらもネットをすり抜けて。
「次はゴールに当てんなよ?」
「るせー! 入ったんだから文句言うな!!」
二人の会話に美穂はクスリと笑って、
「あ、そうだ」
ジャージのポケットにあるスマホを確かめた。
コートを離れて少し隠れるように電話を。勿論相手は、
「美穂? いいの? もう大丈夫!?」
すぐさま聞こえてくる声に笑いを堪えながら「うん」と答えると電話は切れて。
体育館の入り口に迎えに行く途中、
「美穂!!」
メイはすぐに見つかった。
「本当に観覧席じゃなくてもいいの? 本当?」
「うん、大丈夫。それにこっちのほうがきっとよく見えるよ」
メイは2階からこっそり覗くつもりだったらしい。
だけど見るなら絶対に同じ目線がいいことを知ってるから。
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