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「それで二人はキスでもしてた?」
「はい?」
話は簡単に逸れてしまって。
「僕も君とキスしたいな」
「……」
そんなことをさらりと言えてしまうのが鳴海先輩。
「ねぇ、もっと顔を近づけて」
「何でですか?」
「で、カメラにキスしてみて」
「嫌です」
「ほら、最近『エアバンド』とか流行ってるでしょう? だから『エアキス』」
「なんですかっ! それは!! ってかしませんから、そんなの!!」
「目を閉じてすこし唇を突き出した顔がすきなんだけど」
「先輩っ!!」
そう叫びながらもいつもと変わらない関係にホッとする。
画面の向こう、彼も笑ってて。
少し寂しいのは否定できないけれど、こんな日が続けばいい。
美穂はそんなことを思いながら笑う彼の顔を見ていた。
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