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ピュ-ッ…………。
「あっ、始まったよ。ムト」
「やっぱ、この場所選んで正解だったな。眺め が最高だわ」
「ほんと、綺麗だね」
「おっと、ムービー撮らないとな」
夜空一面に広がる花火を見ながら、感動する私 の隣りにはムトがいる。
「最後の花火は文字が浮かぶらしいぜ」
「ほんとに?楽しみ~」
そっと肩を抱き寄せるムトに、私は自然に体を 預けた。
まだ少し蒸し暑さの残る8月下旬の夜。
私達は夢中で花火を眺めていた。
時折吹く風が心地好くて、どこからか聞こえる 虫の鳴き声が、優しい音色となって耳に届く。
「そろそろ終わりかな?どんな文字なんだろう な」
「単純に祝って字じゃない?」
「愛とかだったら笑えるな」
「あははっ、ほんとだね」
浮かぶ文字を連想しながら、最後の一発を待ち 侘びた。
「「あっ……」」
上がると同時に重なった2人の声。
見つめる先に浮かんだ文字は……。
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