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カーテンの隙間から陽射しが差し込む。
「うそっ、もう朝なの?あぁ、もう……。また いい所で……」
気がつくと、すっかり夜が明けた朝の8時で、 またしても肝心な所で夢から覚めてしまった私 は、ガックリ肩を落とした。
―――最後の文字って何だったのかなぁ……。
「あぁ、気になる~」
思わず叫びながら携帯に気づいた。
チカチカとランプが点滅している。
-本文-
明日は午前から講義が入ってたよな?10時に 迎えに行く。今さ、兄貴が来てんだ。また今 度、4人で出かけようだって。亜衣羅はどこ行 きたい?
送信者-卓郎
PM20:08に送られて来ていた。
「うそでしょ?」
夕べの記憶は8時頃、夢と現実の狭間で聞いた 着メロが最後。
多分それが、この卓郎からのメールだったんだ ろうけど、そこから12時間、つまり半日も 眠っていたなんて……。
そんなに疲れていたんだろうか。
同じ夢を続きから見られた事も、まるで実際に 体験したように正確に覚えている事も、不思議 で堪らなかった。
だけどやっぱり、ムトの顔だけ思い出せない。
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