夢の始まり

17/28
前へ
/150ページ
次へ
カーテンの隙間から陽射しが差し込む。 「うそっ、もう朝なの?あぁ、もう……。また いい所で……」 気がつくと、すっかり夜が明けた朝の8時で、 またしても肝心な所で夢から覚めてしまった私 は、ガックリ肩を落とした。 ―――最後の文字って何だったのかなぁ……。 「あぁ、気になる~」 思わず叫びながら携帯に気づいた。 チカチカとランプが点滅している。 -本文- 明日は午前から講義が入ってたよな?10時に 迎えに行く。今さ、兄貴が来てんだ。また今 度、4人で出かけようだって。亜衣羅はどこ行 きたい? 送信者-卓郎 PM20:08に送られて来ていた。 「うそでしょ?」 夕べの記憶は8時頃、夢と現実の狭間で聞いた 着メロが最後。 多分それが、この卓郎からのメールだったんだ ろうけど、そこから12時間、つまり半日も 眠っていたなんて……。 そんなに疲れていたんだろうか。 同じ夢を続きから見られた事も、まるで実際に 体験したように正確に覚えている事も、不思議 で堪らなかった。 だけどやっぱり、ムトの顔だけ思い出せない。
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加