夢の始まり

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教室内はまだ人が疎らに座っていて、少し早く 着きすぎた私達は、中央から若干窓際よりの後 ろの席に落ち着いた。 「よー卓郎」 入口から姿を見せた友人達に、 「おう、久しぶりじゃね?耕太、真一。ちょっ と行って来るな」 軽く手を上げ私に一言告げると、その友人達の 元へ向かった卓郎。 その背中を見送ってから、 「あぁ~」 変な怠さが残る体を、だらしなく机に投げ出し 突っ伏した。 「でも……、不思議」 何気なく言葉を漏らして考えるのは、昨日から 立て続けに見てしまう夢の事。 同じような夢を見る事は別に不思議じゃないけ ど。 見ると必ず続きから始まって、1つのストー リーとして繋がっていて。 そして何より、夢とは思えない程のリアル感。 穏やかに流れる時間の中に感じる幸福感。 初めはまた見たいと、続きが見れたらいいなと 軽く捉えていたけど……。 こうも続くと、なんだか怖くなる。 なのにやっぱり気になって、あの後2人はどう なったのかと、今後の展開や物語のラストに興 味を抱いてしまうのは、怖いもの見たさなんだ ろうか。 ―――夢にラストってあるのかな? 「…ふふっ……」 ふと考えて1人で笑っていると。 「気持ち悪っ。卓郎との情事でも思い出し た?」 突然頭上から落とされた、呆れた口調でからか う声。 「……えっ?」 慌ててガバッと起き上がり見上げた先には、ニ ヤニヤと見下ろす夏子が立っていた。
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