9人が本棚に入れています
本棚に追加
教室内はまだ人が疎らに座っていて、少し早く 着きすぎた私達は、中央から若干窓際よりの後 ろの席に落ち着いた。
「よー卓郎」
入口から姿を見せた友人達に、
「おう、久しぶりじゃね?耕太、真一。ちょっ と行って来るな」
軽く手を上げ私に一言告げると、その友人達の 元へ向かった卓郎。
その背中を見送ってから、
「あぁ~」
変な怠さが残る体を、だらしなく机に投げ出し 突っ伏した。
「でも……、不思議」
何気なく言葉を漏らして考えるのは、昨日から 立て続けに見てしまう夢の事。
同じような夢を見る事は別に不思議じゃないけ ど。
見ると必ず続きから始まって、1つのストー リーとして繋がっていて。
そして何より、夢とは思えない程のリアル感。
穏やかに流れる時間の中に感じる幸福感。
初めはまた見たいと、続きが見れたらいいなと 軽く捉えていたけど……。
こうも続くと、なんだか怖くなる。
なのにやっぱり気になって、あの後2人はどう なったのかと、今後の展開や物語のラストに興 味を抱いてしまうのは、怖いもの見たさなんだ ろうか。
―――夢にラストってあるのかな?
「…ふふっ……」
ふと考えて1人で笑っていると。
「気持ち悪っ。卓郎との情事でも思い出し た?」
突然頭上から落とされた、呆れた口調でからか う声。
「……えっ?」
慌ててガバッと起き上がり見上げた先には、ニ ヤニヤと見下ろす夏子が立っていた。
最初のコメントを投稿しよう!