夢の始まり

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ふと瞼を開けた視界は真っ暗で、カーテンの隙 間から差し込む月明かりが窓の下に影をつく る。 目覚めた私は現実世界がまだ、人々が寝静まる 深夜だと気づく。 ゆっくり上半身を起こして布団を抱えた。 「また……、見ちゃった」 小さく漏らした呟きが、静まり返った真夜中の 部屋に広がる。 ―――夢、だよね。そう、あれはただの夢なん だから。…ねぇ……ムト……。 説明できない状況を理解などできるはずもなく て。 ―――ただの夢、たまたま続けて見ただけなん だ。 …と、無理に自分を納得させる。 考え込むうちに薄明るくなった外は、いつの間 にか夜明けを迎えていた。
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