9人が本棚に入れています
本棚に追加
/150ページ
ふと瞼を開けた視界は真っ暗で、カーテンの隙 間から差し込む月明かりが窓の下に影をつく る。
目覚めた私は現実世界がまだ、人々が寝静まる 深夜だと気づく。
ゆっくり上半身を起こして布団を抱えた。
「また……、見ちゃった」
小さく漏らした呟きが、静まり返った真夜中の 部屋に広がる。
―――夢、だよね。そう、あれはただの夢なん だから。…ねぇ……ムト……。
説明できない状況を理解などできるはずもなく て。
―――ただの夢、たまたま続けて見ただけなん だ。
…と、無理に自分を納得させる。
考え込むうちに薄明るくなった外は、いつの間 にか夜明けを迎えていた。
最初のコメントを投稿しよう!