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「お前なぁ、もう少しで跳ねられる所だったん だぞ。あっぶねぇなぁ。気をつけろよ」
「…いたっ……」
デコピンされた私は、手でおでこを摩りながら 兄を睨む。
「全く、お前のおかげて俺まで怪我したわ。ほ らっ……」
そう言って差し出された兄の腕には幾つもの擦 り傷があって。
ボーッと歩いていて信号に気づかなかった私 を、たまたま通りかかった兄が間一髪の所で助 けたらしい。
そのまま気を失い兄に病院まで運ばれて、意識 がないまま手当を受けた。
じゃあ、私の記憶に残る光景は夢だったんだろ うか。
だけど、夢にしてはあまりにもリアルだった気 がするけど。
「亜衣羅も気がついた事だし帰りましょ。会計 も済ませたしね」
母がそっと私の肩に手をかける。
後ろから兄がついて来て、私達は先に駐車場で 待っていた父の車に乗り込み家へ帰った。
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