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「行ってきます」
翌日、午後からの講義を受ける私は少し早めの 昼食を取り、12時前に家を出た。
春の陽射しがポカポカと暖かい。
門に横付けして止まる1台の車。
「おはよ」
ドアを開けて乗り込むと、運転席に座る恋 人に声をかけた。
志田亜衣羅(しだあいら)
それが私の名前。
そして遠田卓郎(えんだたくろう)
彼が私の恋人。
私達の付き合いはもう2年になる。
大学2年になった私達の交際は順調に見えた。
私達が通うN大には、2歳上の兄、哲也(てつ や)も通っている。
いつも綺麗に着飾った女の子に囲まれて、華や かな大学生活を送る兄には、特定の彼女はいな い。
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