序章の始まりはもう終わりかかっていた。

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きっと、去年の今頃、 僕は死んでた。 神様に抗おうって決めて、運命に少しでも逆らおうって、決めて。 でも駄目で。 皆に出会わなければ、死んでた。 僕は、目の前の石段を少しずつ、少しずつ、ゆっくりと腕に大きな花束を抱えて登っていく。 と、後ろから、 「えら!早いな!」 と、声がする。 「…勇者。」 「あ、私も居ますわよ!」 勇者の後ろから声が聞こえ、勇者に隠れるようにしていた小柄な少女が、輝くような笑顔で言った。 「…姫。」 僕たちは、去年、滅びゆくはずだったこの世界を救った。 ここに、もう一人、ーーーー生け贄が居た。 そして、僕は、僕は………… 選ばれし者、だった。 そんな僕たちのものがたり。
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